目次
外部のAIに貼れない社外秘、こうなっていませんか
AIを使えば早いのは分かっている。でも、その会話は社外に出せない。
個人契約のAIに渡して匿名化させたら、情報セキュリティ部門から連絡。報告書を書くことに。
「外部のAIには送れない」と法務が止めた。便利さは分かっているのに、進まない。
Ollamaで試せた。でも誰がつなげる状態か、説明できない。
外に出せないから、AIを使わない。その二択の間に、「自社のサーバーで動かす」があります。
※ 1と2は、解説動画で紹介された事例をもとにした例です(動画で語られていること)。
本当は、こうしたかった:社外秘のまま社内のQwenで
同じ資料、同じ会議。AIに任せても、データが社内から出ない状態。
データは社内のサーバーから出ない。外部のAIに貼る必要がない。
待ち受け先、認証、外への通信、ログ。どこで止めたかを示せる。
取得、検証、台帳、本番。決まった流れで、誰がやっても同じ手順。
「この版に上げるか」。前後の比較がそろい、決めるのはその一問。
ここまでは、このページの手順とチェックリストで作れます。会議のあとの段取りまで含めた分け方は、SIMYとの関係にまとめました。
ローカルLLMとは:Qwenを社内で動かす理由
ローカルLLMは、公開されたモデルの重みを、自分のPCや社内のサーバーで動かす使い方です。入力した文章は、そのマシンの外に出ません。
| 呼び方 | どこで動くか | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ローカルLLM | 自分のPC(MacやWindows) | 1人で試す、オフラインで使う |
| オンプレLLM・社内LLM | 社内のサーバーやデータセンター | 部署や全社で同時に使う |
| 閉域網のLLM | インターネットにつながないネットワークの中 | 守秘義務、個人情報、設計情報を扱う |
ローカルLLMでできること
- 社外秘の文書の要約と下書き:議事録、契約書、設計書、顧客とのやり取り。
- 社内文書の検索と質問(RAG):社内の規程や手順書を読ませて、質問に答えさせる。
- 翻訳とコードの補助:中国語・英語・日本語の翻訳、社内のコードの説明や修正案。
小さなモデルは、大きなクラウドのモデルほど賢くはありません。最終版ではなく「たたき台」を作る役として使うと、期待とのずれが少なくなります。
Qwenを選ぶ理由
- Apache 2.0のモデルがある
- 日本語を含む多言語
- 大きさを選べる
- ライセンス:Qwen3やQwen3.8-27Bなど、多くのモデルがApache 2.0で公開されています。ただし、すべてではありません(下の表)。
- 日本語:Qwen3世代の発表で、日本語を含む119の言語・方言をうたっています。
- 大きさ:PCで動く0.6B〜8Bから、量子化すれば1枚のGPUに載る27B〜32B、複数のGPUが要る235Bまであります。
ライセンスはモデルごとに違う
表は横にスクロールできます →
| モデル | ライセンス | 確認の度合い |
|---|---|---|
| Qwen3(0.6B〜32B、30B-A3B、235B-A22B-2507)、Qwen3-VL、Qwen3-Coder、Qwen3-Embedding・Reranker | Apache 2.0 | Hugging Faceで確認 |
| Qwen3.5(0.8B〜35B-A3B)、Qwen3.6(27B、35B-A3B)、Qwen3.8-27B(FP8版を含む) | Apache 2.0 | Hugging Faceで確認 |
| Qwen2.5の大半(0.5B〜32B、Coder 7B・14B、VL-7B) | Apache 2.0 | Hugging Faceで確認 |
| Qwen2.5-3B、Qwen2.5-VL-3B | qwen-research(研究用。商用は別の扱い) | 名前のみ確認。条文は要確認 |
| Qwen2.5-72B-Instruct、Qwen2.5-VL-72B | qwen(独自ライセンス) | 名前のみ確認。条件は要確認 |
| Qwen3.8-2.4T-A95B | 独自ライセンス | Hugging Faceで確認 |
| Qwen3.8-Flash-Next | qwen-community-1.0。MaaSとしての提供や、コーディング・オフィス支援などの「AI work assistant」用途には別のライセンスが要るとされる | 要約での確認。法務の確認が前提 |
2026年10月1日にHugging FaceのQwen組織のモデル情報で確認しました。「Qwenならすべて Apache 2.0」ではありません。使うモデルのリポジトリにあるLICENSEを、商用利用の前に法務と確認してください。
ローカルLLMのおすすめ:用途別のQwenの選び方2026年10月時点。迷ったら小さく始める
- まずPCで試す:Qwen3の4B〜8BやQwen3.5の小さなモデル。OllamaやLM Studioで動き、業務に効くかを確かめられます。
- 部署で使う要約・下書き:Qwen3-14B・32B、またはQwen3.8-27B。FP8や4bitの版なら1枚のGPUに載る大きさで、画像も扱えるのは3.8-27Bです。
- コードの補助:Qwen3-Coder(30B-A3B)。活性パラメータが少ないMoEで、大きさのわりに速く動きます。
- 社内文書の検索:答えるモデルに加えて、Qwen3-EmbeddingとRerankerを組み合わせます。
使い道を1つに決めてから試すと、どの大きさで十分かを判断しやすくなります。いきなり大きなGPUを買う前に、手持ちのPCで「たたき台として使えるか」を確かめるのが近道です。
Qwen本体の使い方(Qwen Chat、API、主なモデル)はQwen 活用ガイドに、他の中国のモデルとの比較は中国のAI(LLM)比較にまとめています。
推論エンジンの選び方:Ollama・llama.cpp・vLLM・SGLang・LM Studio
モデルを動かすソフトが「推論エンジン」です。安全の面で一番の違いは、何もしないとどこで待ち受けるかです。
表は横にスクロールできます →
| エンジン | 既定の待ち受け | 本体の認証 | TLS | 外への通信 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| Ollama | 127.0.0.1:11434 | 公式FAQに記載なし。プロキシで行う | なし。プロキシで終端 | クラウド機能はOLLAMA_NO_CLOUD=1で停止。Mac・Windows版は自動で更新を取りに行く | 個人や小さなチームの試用、Mac |
| llama.cpp(llama-server) | 127.0.0.1:8080 | --api-key、--api-key-file | --ssl-key-file、--ssl-cert-file | --offlineでネットワークの確認を止める | 1人で使う、GGUF、CPU・Apple・AMD |
| vLLM | --hostを省くと全インターフェース(ポート8000) | --api-keyかVLLM_API_KEY。守られるのは/v1など一部だけ | --ssl-keyfile、--ssl-certfile | 使用統計を既定で送る。VLLM_NO_USAGE_STATS=1で停止 | 部署・全社で同時に多く使う本番 |
| SGLang | 127.0.0.1:30000 | --api-key。管理用は--admin-api-key | プロキシで終端するのが無難 | モデルの取得はHF_HUB_OFFLINE=1で止める | エージェント用途、同じ長いプロンプトの使い回し |
| LM Studio | 自分のPCだけ(ポート1234)。LANへの公開は設定で切り替え | 公式ドキュメントで確認 | なし | 公式ドキュメントで確認 | 画面で試す、Macや個人のPC |
2026年10月時点の各公式ドキュメント(vLLMはソースも)で確認。LM Studioの行は、確認しきれていない項目を「公式ドキュメントで確認」としています。
- まず確かめる:llama.cppかOllamaで、業務に効くかを見る。
- 全社で使う:vLLM。同時に多くの人が使っても速度が落ちにくい。
- エージェントが同じ長い指示を大量に流す:SGLang。
vLLMの注意:公式のSecurityページは、--api-keyで守られるのは/v1などに限られ、/invocationsや/poolingなどは対象外だと説明しています。だからこそ、公開したいエンドポイントだけを通すリバースプロキシの後ろに置くことを、公式も最も効果的な対策としています。
ハードウェアの目安:Qwenのモデル別に必要なGPUメモリ
必要なGPUメモリは、3つの足し算で考えます。
- 重みパラメータ数 × 1つあたりのバイト数(BF16は2、FP8は1、4bitは約0.5)
- + KVキャッシュ文脈の長さ × 同時に使う人数に比例
- + 余裕実行時の作業領域
表は横にスクロールできます →
| モデル | BF16 | FP8 | 4bit(INT4など) | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| Qwen3-8B | 約16GB | 約9.3GB | 約6.2GB | Qwen公式の速度ベンチマーク |
| Qwen3-14B | 約28GB | 約16GB | 約10GB | 同上 |
| Qwen3-32B | 約63GB | 約33GB | 約19GB | 同上 |
| Qwen3-235B-A22B | GPU 8枚 | GPU 4枚 | GPU 4枚(GPTQ-INT4) | 同上(SGLangでの構成) |
| Qwen3.8-27B | 約54GB(重みのみ・計算上の目安) | 約27GB(計算上)。公式FP8版は約28.8GBという計測例 | 約14GB(計算上)。実際のファイルは17〜18GB前後(Ollama版のダウンロードは約18GB) | パラメータ数からの計算値。計測例、Ollamaライブラリ |
Qwen3は、Qwen公式の速度ベンチマーク(transformersで短い入力を処理した起動直後のGPUメモリ)の値です。Qwen3.8-27Bは公式の数値表がないため、パラメータ数から計算した目安と個人の計測例で、KVキャッシュは含みません。量子化の版と文脈の長さで必要な量は大きく変わります(2026年10月時点)。
- Qwen3.8-27Bと32GBのGPU:BF16は重みだけで約54GB(計算上の目安)なので、RTX 5090(32GB)1枚には載りません。公式のFP8版も重みだけで約28.8GBあり、文脈を最大まで取ると32GBに収まらないという試算が紹介されています。4bitの版にするか、文脈の上限を下げるかで調整します。
- 16GBのGPU 2枚は、32GBの1枚と同じではない:2枚に分けると、カード間の通信と、それぞれに要る作業領域の分だけ不利になります。
- 長い文脈は待ち時間が延びる:ある個人の計測例では、約25万トークンの入力で最初の文字が出るまで4分を超えました。
- Mac:Apple シリコンはメモリをGPUと共有します。モデルのファイルより十分大きいメモリが必要です。
大きさの決め方:同時に使う人数と、1回に読ませる文書の長さを先に決めてください。KVキャッシュはこの2つに比例して増えるため、重みだけで足りると考えると、本番で足りなくなります。
閉域網での構築手順:Qwen+vLLMを社内サーバーに置く
例はQwen3.8-27BのFP8版とvLLM(Docker)、Linuxのサーバーです。コマンドは2026年10月時点の公式ドキュメントに合わせています。GPUメモリが足りないときは、文脈の上限(--max-model-len)を下げるか、4bitの版を選びます。
※ 構成は説明用のイメージです
コマンドの読み方:<確認したコミットSHA>のように山かっこで囲んだ部分は、自社の値に置き換えてください。バージョンの番号は2026年10月時点の例です。
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版を固定してモデルを取得する
搬入用の端末(インターネット側)公式の
Qwen/組織のリポジトリから、コミットを指定して取得します。推論エンジンのコンテナも、版を固定して保存します。bashpip install -U huggingface_hub hf download Qwen/Qwen3.8-27B-FP8 \ --revision <確認したコミットSHA> \ --local-dir ./Qwen3.8-27B-FP8 docker pull vllm/vllm-openai:v0.30.0 docker inspect --format '{{index .RepoDigests 0}}' vllm/vllm-openai:v0.30.0 docker save vllm/vllm-openai:v0.30.0 -o vllm-openai-v0.30.0.tardocker inspectが表示するダイジェスト(sha256:で始まる値)を、台帳に書き写しておきます。版を固定する理由:同じリポジトリでも、新しいリビジョンで中身が変わることがあります。ある量子化版では、新しいリビジョンで投機的デコード用の層(MTP)が削られ、高速化が起動しなくなったと紹介されています。
-
SHA-256の台帳を作る
搬入用の端末Hugging FaceのAPIが返す
lfs.oidは、大きなファイル(LFS)のSHA-256です。この値と、手元のファイルを照合します。bash# Hugging Face側の値を取り出す(LFSのファイルだけ) curl -s "https://huggingface.co/api/models/Qwen/Qwen3.8-27B-FP8/tree/<確認したコミットSHA>?recursive=true&expand=true" \ | jq -r '.[] | select(.lfs) | "\(.lfs.oid) ./\(.path)"' > HF.sha256 # 手元のファイルと照合し、全ファイルの台帳を作る cd Qwen3.8-27B-FP8 sha256sum -c ../HF.sha256 find . -type f ! -path './.cache/*' -print0 | sort -z | xargs -0 sha256sum > ../MODEL.sha256 cd .. && sha256sum vllm-openai-v0.30.0.tar > IMAGE.sha256台帳には、取得した人とは別の担当者が確認の署名をします(署名の方法は社内の標準に従います)。
-
媒体で搬入し、読み込む前に検証する
閉域網のサーバー台帳とファイルを媒体で移し、閉域側でもう一度照合します。1行でも
FAILEDが出たら使いません。bashcd /srv/llm/models/Qwen3.8-27B-FP8 && sha256sum -c /srv/llm/incoming/MODEL.sha256 cd /srv/llm/incoming && sha256sum -c IMAGE.sha256 docker load -i vllm-openai-v0.30.0.tar -
127.0.0.1だけで待ち受けるように起動する
閉域網のサーバーvLLMは
--hostを省くと全インターフェースで待ち受けます。必ず--host 127.0.0.1を書き、鍵はファイルで渡します(コマンドラインに書くとpsで見えます)。bash · vLLM(Docker)# 鍵のファイルを作り、権限を600にする sudo install -D -m 600 /dev/null /etc/llm/vllm.env echo "VLLM_API_KEY=$(openssl rand -hex 32)" | sudo tee /etc/llm/vllm.env > /dev/null sudo docker run -d --name qwen --gpus all --ipc=host --network host \ -v /srv/llm/models:/models:ro \ -e HF_HUB_OFFLINE=1 -e VLLM_NO_USAGE_STATS=1 -e DO_NOT_TRACK=1 \ --env-file /etc/llm/vllm.env \ vllm/vllm-openai:v0.30.0 \ --model /models/Qwen3.8-27B-FP8 \ --served-model-name qwen3.8-27b \ --host 127.0.0.1 --port 8000 \ --max-model-len 65536 --gpu-memory-utilization 0.90 # 127.0.0.1:8000 だけで待ち受けていることを確かめる ss -ltnp | grep 8000--trust-remote-codeは付けない。モデルに同梱されたコードを実行しないためです。VLLM_SERVER_DEV_MODE=1は本番で使わない。開発用のエンドポイントが公開されます。- 思考モードとツール呼び出し:Qwenの公式ドキュメントでは、Qwen3の例として
--reasoning-parser qwen3と--enable-auto-tool-choice --tool-call-parser hermesを挙げています。3.8世代での指定は、モデルカードで確認してください。
bash · Ollamaの場合(systemd)sudo systemctl edit ollama # 開いたファイルに次の3行を書いて保存する [Service] Environment="OLLAMA_HOST=127.0.0.1:11434" Environment="OLLAMA_NO_CLOUD=1" sudo systemctl restart ollamabash · SGLang・llama.cppの場合python3 -m sglang.launch_server --model-path /models/Qwen3.8-27B-FP8 \ --host 127.0.0.1 --port 30000 --api-key <鍵> --admin-api-key <管理用の鍵> llama-server -m /models/qwen.gguf --host 127.0.0.1 --port 8080 \ --api-key-file /etc/llm/keys --offline --no-webui --jinjaSGLangの例でも鍵は直接書かず、実際はファイルや環境変数から渡してください。モデルカードの例は
--host 0.0.0.0なので、そのままコピーしないでください。 -
nginxでTLS・許可リスト・認証をかける
閉域網のサーバー(ゲートウェイ)利用者が触れるのはnginxだけにします。通すのは
/v1のうち必要なものだけで、それ以外は404を返します。nginxserver { listen 443 ssl; server_name llm.internal.example; ssl_certificate /etc/pki/llm.crt; ssl_certificate_key /etc/pki/llm.key; ssl_protocols TLSv1.2 TLSv1.3; allow 10.20.0.0/16; # 社内のセグメントだけ deny all; location = /v1/chat/completions { auth_request /_auth; auth_request_set $user $upstream_http_x_auth_request_user; proxy_set_header Authorization "Bearer <上流の鍵>"; proxy_pass http://127.0.0.1:8000; proxy_buffering off; # ストリーミングの応答のため } location = /v1/models { auth_request /_auth; auth_request_set $user $upstream_http_x_auth_request_user; proxy_set_header Authorization "Bearer <上流の鍵>"; proxy_pass http://127.0.0.1:8000; } location = /_auth { internal; proxy_pass http://127.0.0.1:4180/oauth2/auth; # oauth2-proxyなどで社内のIdPと連携 } location / { return 404; } # /metrics や /invocations などは出さない }利用者は社内のSSO(OIDCやSAML)で本人確認し、上流のAPIキーは利用者に配りません。
auth_requestはnginxのモジュールで、ビルドに含まれているかをnginx -Vで確認できます。 -
外向きの通信を拒否する
閉域網のサーバーサーバーからインターネットへの通信を、既定ですべて拒否します。許可するのは、社内のDNS、時刻合わせ、ログの収集先だけです。
bash · ufwsudo ufw default deny incoming sudo ufw default deny outgoing sudo ufw allow in on <管理用IF> to any port 22 proto tcp # 先に許可しないとSSHが切れる sudo ufw allow in on <社内IF> to any port 443 proto tcp sudo ufw allow out to <社内DNS> port 53 proto udp sudo ufw allow out to <社内NTP> port 123 proto udp sudo ufw allow out to <ログ収集先> port 514 proto tcp sudo ufw enable # 外に出られないことを確かめる(失敗すれば正しい) curl -m 5 https://huggingface.coDockerの
-pでポートを公開すると、Dockerが自分でパケットの規則を足すため、ufwで閉じたつもりでも外から届くことがあります。この手順では--network hostと--host 127.0.0.1を使い、待ち受けをローカルに限っています。bash · -p を使う場合# ホスト側は127.0.0.1だけに公開する(-p 8000:8000 は全インターフェースに公開される) sudo docker run -d --name qwen --gpus all --ipc=host \ -p 127.0.0.1:8000:8000 \ -v /srv/llm/models:/models:ro \ -e HF_HUB_OFFLINE=1 -e VLLM_NO_USAGE_STATS=1 -e DO_NOT_TRACK=1 \ --env-file /etc/llm/vllm.env \ vllm/vllm-openai:v0.30.0 \ --model /models/Qwen3.8-27B-FP8 --served-model-name qwen3.8-27b \ --host 0.0.0.0 --port 8000 --max-model-len 65536 # ↑ コンテナの中では0.0.0.0で待ち受け、ホスト側は127.0.0.1だけに出るこの形では、コンテナの中のvLLMは
0.0.0.0で待ち受けますが、ホストの外からは届きません。ネットワーク側のファイアウォールでも、外向きを止めてください。 -
ログと監査を残す
ゲートウェイ・監視誰が、いつ、どのエンドポイントを使ったかを、nginxのログに残して社内のログ基盤(SIEMなど)へ送ります。トークン数は、監視用のネットワークにだけ出した
/metrics(Prometheus形式)で集計します。nginx · http { } の中log_format llm '$time_iso8601 user=$user ip=$remote_addr "$request" ' 'status=$status bytes=$body_bytes_sent rt=$request_time'; access_log /var/log/nginx/llm.log llm;vLLMで
--enable-log-requestsを有効にしてDEBUGレベルにすると、プロンプトの本文がログに残ります。本文を残すかと保存期間は、個人情報と機密の規程に合わせて決めてください。 -
利用者と権限を決める
画面(Open WebUIなど)画面からチャットで使うなら、Open WebUIなどのフロントエンドを同じ閉域に置き、ロールとグループごとに使えるモデルを分けます。退職した人は、社内のIdPで止まるようにします。
env · Open WebUIOFFLINE_MODE=true ENABLE_SIGNUP=false DEFAULT_USER_ROLE=pending ENABLE_COMMUNITY_SHARING=falseOFFLINE_MODEを有効にすると、埋め込みモデルを先に入れていない場合に、文書検索(RAG)が動きません。埋め込みモデルも、手順1〜3と同じ流れで搬入します。 -
更新の流れを決めておく
搬入用の端末 → 検証環境 → 本番vLLMはおよそ2週間ごとにリリースされ、毎回のようにセキュリティの修正が入ります。閉域網でも「取得 → 検証 → 台帳 → 本番」の流れで、定期的に上げてください。
bash# 1. 新しい版を手順1〜3と同じく取得・照合・搬入する # 2. 検証環境で、旧版と新版に同じ質問を流して比べる # 3. 使っている環境変数の名前を出し、新しい版で消えていないかをリリースノートと照らす sudo docker inspect --format '{{range .Config.Env}}{{println .}}{{end}}' qwen \ | grep -E '^(VLLM_|HF_)' | cut -d= -f1 # 4. 本番に入れたら、誰がいつ上げ、いつ戻したかを1行残す echo "$(date -I) vllm <旧版>→<新版> 担当:<名前> 検証:OK 戻し:<旧版>.tar" >> /srv/llm/CHANGELOG前の版のコンテナとモデルは、ダイジェストを控えて戻せるように残しておきます。文脈の長さの上限など、版によって変わる値は前後で比べてください。
ローカルLLMのセキュリティチェックリスト:本番前の20項目
構築の前後で、上から順に確かめてください。チェックはこの画面の中だけで使え、どこにも送信されません。
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モデルとコンテナの取得
待ち受けと外への通信
入口と認証
権限・記録・運用
よくある間違い:ローカルLLMの「つもり」が招く穴
左がよくある間違い、右がこのページの手順での対策です。
--host 0.0.0.0で認証なしサンプルの起動コマンドをそのまま使い、LAN全体に公開してしまう。127.0.0.1+nginx待ち受けはローカルだけ。利用者はゲートウェイを通す。- 出所の分からない改変版「Uncensored」などのコミュニティ版GGUFを、来歴を確かめずに使う。公式の
Qwen/から、SHA固定第三者の版を使うなら、作成者と手順を記録する。 - 「api-keyを付けたから安全」vLLMの鍵が、すべてのエンドポイントを守ると思い込む。許可リストで絞る通すのは
/v1/chat/completionsなど必要なものだけ。 - 「オンプレだから安全」社内にあるからと、権限、ログ、RAGのアクセス制御を省く。社内でも、外と同じ管理をSSO、ロール、ログ、閲覧権限を引き継いだ検索。
- トンネルで外から使う社内用なのに、Cloudflare Tunnelなどで外部に公開してしまう。社内のネットワークからだけ外から使う必要があるなら、社内の正規のリモート接続を通す。
- 既定の外部通信に気づかないvLLMの使用統計や、Ollamaのデスクトップ版の自動更新。環境変数と外向き拒否の両方で設定で止め、ファイアウォールでも止める。
- 小さなモデルに任せすぎるエージェントやツール呼び出しで、存在しないファイルやリンクを作られる。たたき台として使う実行はサンドボックスで、結果は人が確かめる。
- 更新で壊れる版を上げたら、消えた環境変数や変わった上限で動かなくなる。検証環境で前後比較リリースノートと照らし、誰が上げたかを残す。
動画で語られていること:Qwenのセルフホストの実例
2026年2〜10月に公開された、英語・中国語・日本語の解説動画18本を、音声の書き起こしまで確かめました。
18本の動画で語られていること8つの場面と、全体から見えること
発言から:8つの場面
- 銀行で起きたこと(伝聞):講演の登壇者が、顧客の銀行で起きた例として「社員が個人で契約していたAIツールに個人情報入りのファイルを読ませて匿名化させたら、3分後に情報セキュリティ部門から電話が来て、報告書と処分になった」と話しています(要約)。
Will 保哥(講演)・動画の 1:39:00〜 - 危ないのはハーネス:同じ講演で「エージェントで危ないのはモデルではなくハーネス(ファイルを書き、通信する周りの仕組み)。モデルはGPUの中で文字をつないでいるだけ」と話しています(要約)。チェックリストの19(サンドボックス)の理由です。
Will 保哥(講演)・動画の 1:21:00〜 - 版を固定する理由:「量子化版の新しいリビジョンでMTPの層が削られ、投機的デコードが起動しなくなった。だからコミットで固定する」と話しています(要約)。手順1の「版を固定」はこのためです。
RepoChad・動画の 4:05〜 - 11434番には鍵がない:「Ollamaの
localhost:11434のAPIには標準で認証がない。サーバーで使うならリバースプロキシかファイアウォールで制御する」と話しています(要約)。
さつきのOSS研究室・動画の 10:00〜 - 8000番を世界に開けない:クラウドのGPUで試す例で「8000番を世界に開けたくないので、SSHのポートフォワードでつなぐ」と話しています(要約)。TLSを用意する前の、検証段階の代わりです。
The Cef Experience・動画の 9:31〜 - オンプレでも見えすぎる:「権限設計を怠ると、本来見えてはいけない給与や人事の情報までAIが答えてしまう。社内に置いただけでは安全ではない」と話しています(要約)。
管理のプロ・動画の 24:30〜 - 更新の記録は1行で:「今の版を固定してタグを残し、誰がいつ上げていつ戻したかを1行残す。障害のときに効く」と話しています(要約)。手順9の記録の形です。
AIニュース・動画の 7:01〜 - 時間もコスト:Ollamaとトンネルで2日試した末にクラウドに戻った経験から「無料には隠れたコストがある。時間もコストだ」と話しています(要約)。
Garfield_Investment・動画の 8:02〜
非公式の改変モデルで、市販ソフトの認証回避を実演する動画もありますが、真似しないでください。出所の分からない改変版は、このページの手順では使いません。
18本を通して見えること
- 守秘義務:税理士がMac 1台とOllama、Qwen3、Open WebUIで、Wi-Fiを切っても動く税務のAIを作った例。複数ステップの税額計算は難しく、今は顧客の同意を得てクラウドを使うのが最適だとも話しています。
- エアギャップ:ツールをミラーし、モデルを物理的に搬入し、閉域内のストレージから推論エンジンを起動する4段階。評価とゲートウェイも置く流れです。
- エンジンの使い分け:1人ならllama.cpp、多人数ならvLLM、同じ長い指示を使い回すエージェントならSGLang。本番はWindowsよりLinuxを、という主張もあります。
- GPU 2枚は1枚の大きなGPUにならない:カード間の通信がボトルネックになり、1人で使う速さはあまり変わらない。増やせるのは同時接続と文脈の長さだ、という説明が複数ありました。
- 長い文脈の待ち時間:16GBのGPU 2枚でQwen3.8-27Bを動かした例では、約25万トークンの入力で最初の文字まで4分を超えました。
発言は、音声を自動で書き起こしたものからの要約で、逐語の引用ではありません。時刻は目安で、リンク先の30秒ほど後に話していることがあります。数値は、それぞれの構成での一例です。
SIMYとの関係:閉域の中はQwen、外はSIMY
正直に書きます。SIMYは現時点でQwenでは動かず、閉域網の中やオフラインでも動きません。
- 文字起こし社外秘の会議
- 要約社内のGPUで
- 下書き本文は外に出さない
- 許可された範囲担当・期限・日程
- 担当と期限会議から拾う
- 返信Gmailに下書きまで
- 判断1問だけ戻る
※ 分担は説明用のイメージです
- 会議・チャットから拾う
- あなたのやり方で
- 判断だけ返す
社外秘の本文は、閉域のQwenで扱う。そのあと「誰が・いつまでに・何をするか」のうち、会社が外に出してよいと決めた範囲を、会社が許可したツールの中でSIMYが進めます。
- SIMYの動き方:クラウド実行は、お使いのChatGPTアカウント(Codex)で動きます。Codexの利用は、お使いのChatGPTプランの範囲です。
- PCでの実行:SIMYデスクトップアプリは、PC上のClaude Codeを実行役にできます。ダウンロードはこちら。
- 会話履歴の読み取り:デスクトップアプリはClaude CodeとCodexの会話履歴を読み、繰り返している仕事を「SIMYからの提案」にします。会話本文はサーバーに保存しません。使うPCと範囲は、社内の規程で決めてください。
線の引き方:どの情報を閉域に残し、どこからを社外のツールで扱ってよいかは、会社の規程が決めます。SIMYのデータの取り扱いはセキュリティとプライバシーポリシーで公開しています。
ローカルLLM・Qwenのよくある質問
ローカルLLMとは何ですか?
公開されたモデルの重みを、自分のPCや社内のサーバーで動かす使い方です。入力した文章がそのマシンの外に出ないため、社外秘の文書も扱えます。
ローカルLLMでできることは何ですか?
社外秘の文書の要約や下書き、社内文書を読ませた質問への回答(RAG)、翻訳やコードの補助ができます。小さなモデルは最終版より「たたき台」作りに向いています。
ローカルLLMはどれがおすすめですか?
まず試すならQwen3の4B〜8B、部署で使うならQwen3-14B・32BやQwen3.8-27B、コードならQwen3-Coderがおすすめです(2026年10月時点)。大きなGPUを買う前に、手持ちのPCで「たたき台」に使えるかを確かめます。
Qwenはローカルなら無料で使えますか?
Apache 2.0のモデルなら、利用料はかからず商用でも使えます。ただしGPUやサーバー、電気代、運用の手間は自社の負担で、一部のモデルは独自ライセンスです。
Qwenをローカルで動かすのに必要なスペックは?
Qwen公式の数値では、Qwen3-8BがBF16で約16GB、Qwen3-32BがFP8で約33GBのGPUメモリを使います。これは重みが中心の値で、同時に使う人数と文脈の長さに比例してKVキャッシュの分が増えます。
Qwen3.8-27BはRTX 5090 1枚で動きますか?
4bitの量子化版なら、32GBのRTX 5090 1枚に載ります。BF16は重みだけで約54GB(計算上の目安)なので載らず、FP8版も重みだけで約29GBあるため、文脈の上限を大きく下げないと収まりません。
OllamaとvLLMの違いは何ですか?
Ollamaは手軽に試すため、vLLMは多くの人が同時に使う本番のためのエンジンです。Ollamaは既定で127.0.0.1だけで待ち受けますが、vLLMは--hostを省くと全インターフェースで待ち受けるため、必ず指定します。
閉域網でも更新は必要ですか?
必要です。vLLMはおよそ2週間ごとにリリースされ、毎回のようにセキュリティの修正が入ります。搬入用の端末で取得し、検証環境で比べてから本番に入れる流れを決めておきます。
Qwenは商用利用できますか?
Apache 2.0のモデル(Qwen3、Qwen3.8-27Bなど)は商用利用できます。Qwen2.5-3Bや72B、Qwen3.8-Flash-Nextなどは別のライセンスなので、使うモデルのLICENSEを法務と確認してください。
Qwenは日本語に対応していますか?
対応しています。Qwen3世代の発表で、日本語を含む119の言語・方言をうたっています。小さなモデルは長い日本語で不自然になることがあるので、大事な文面は確かめてから使います。
QwenはMacでも動きますか?
動きます。Ollama、LM Studio、llama.cppがMacに対応しています。Apple シリコンはメモリをGPUと共有するため、モデルのファイルより十分大きいメモリが必要です。
オンプレなら安全ですか?
それだけでは安全とは言えません。待ち受け先、認証、外向き通信、ログ、社内文書の閲覧権限を決めて初めて、外に出ない状態を説明できます。
SIMYは閉域網で使えますか?
いいえ。現時点では、SIMYは閉域網の中やオフラインでは動かず、Qwenでも動きません。社外秘の本文は閉域のQwenで扱い、会社が許可した範囲の段取りをSIMYで進める、という分け方ができます。
参考情報
手順、既定の設定、ライセンスは、次の公式情報で確認しました(確認日:2026年10月1日)。バージョンと既定値は頻繁に変わるため、構築の前に各公式ページをご確認ください。
- Security(vLLM ドキュメント)、Usage Stats Collection、vllm serve
- vLLM のリリースノート(GitHub)
- Server Arguments(SGLang ドキュメント)
- FAQ(Ollama ドキュメント)
- llama.cpp server README(GitHub)
- vLLM でのデプロイ(Qwen ドキュメント)、Speed Benchmark(Qwen ドキュメント)
- Qwen(Hugging Face)、Qwen3.8-27B のモデルカード
- Hugging Face CLI、環境変数(Hugging Face Hub)
- ngx_http_auth_request_module(nginx ドキュメント)、ngx_http_ssl_module
- Environment Variable Configuration(Open WebUI ドキュメント)
- Packet filtering and firewalls(Docker ドキュメント)
- qwen3.8(Ollama ライブラリ)